2008年度第5回プログラム・FDミニシンポジウムVol.1
2008年10月23日開催
全学共通科目の新しいカリキュラム
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石澤学長 |
FD委員会では、10月23日に、2008年度FDプログラム(計7回)の第5回として、FDミニシンポジウムVol.1「全学共通科目の新しいカリキュラム」を開催しました。今回は、全学共通教育委員会との共催により、2009年度から新しくなる全学共通科目のカリキュラムについて教職員に周知を図るという目的で実施しました。
まず、石澤良昭学長から、「全学共通科目の目指すもの」という観点でお話しいただきました。学長は、自身の恩師や感銘を受けた本などを紹介しながら、「人間を人間たらしめているものは何か」ということをいろいろな側面から考える「自分発見」のメニューを数多く用意していると、全学共通科目の重要性を述べました。
続いて、大橋容一郎全学共通教育委員会副委員長(文学部哲学科教授)及び鈴木守全学共通教育委員会委員(文学部保健体育研究室教授)から、それぞれ、「キリスト教人間学」、「ウエルネスと身体」という新しいカリキュラムについて報告がありました。
今年4月に全学共通教育委員会副委員長に就任した大橋教授は、学長諮問を受け、神学部改組により全学共通教育の柱である「人間学」を担ってきた人間学研究室が閉室することを踏まえ、「上智らしい教養教育」の実現のため、「キリスト教人間学」の開設に至ったと話しました。さらに、全学共通科目紹介のパンフレットなどを基に、「キリスト教人間学」の4つの科目群について、また、他の全学共通の必修科目、選択科目、学全科目(全学共通科目として履修できる学科科目)及び学科の専門科目との関係について具体的に説明したあと、現在できる最善を尽くしたが、来年度からどのように育てていくか、日々の教育活動にどのように活かしていくか、上智らしさを「キリスト教人間学」以外の選択科目、学全科目でどう実現していくかなど、教員は重く受け止める必要があるとまとめました。
続いて鈴木教授は、レジュメを基に、必修科目「ウエルネスの理論と実践」を「ウエルネスと身体」にカリキュラム改革を行った経緯を話しました。学生たちを取り囲む現状(家庭、地域、社会など環境の激変による孤立する個人、デジタルツールによるコミュニケーションへの依存、見られるためや評価されるための身体にのみ強い関心を持ち内なるものへは無関心など)を踏まえ、「身体」をキーワードに学生の今を見直し、「ウエルネス」と「身体」のバランスの取れた視点での授業を提供していきたいと語りました。
報告に引き続いての参加者による質疑応答では、4つの科目群の履修方法(段階的に履修できるのかなど)、少人数教育や出口教育の重要性、学科科目カリキュラム編成との関係など、活発な意見交換がなされ、今後、さらに検討すべき課題も多く提示されました。
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大橋先生 |
鈴木先生 |
参加教員の多くが神学部、文学部所属の教員で、実際に全学共通科目に携わっている教員の関心の高さが窺えましたが、一方で、大学の全ての学部・学科の教員にもう少し全学共通科目について関心をもっていただけたらと感じました。参加者アンケートを見ると、「全学共通科目の新しいカリキュラムが理解できた」という意見が多く、また、「時宜をえた企画である」「大変よかった。上智らしさを改めて感じた」「このシンポジウムの試みを高く評価したい」など、良い反応をいただき、参加者の満足度は高かったのではないかと思います。
質疑応答の中で、「これまでは、教員も卒業生が多く、上智大学の建学の精神や教育の理念などは何となく身についているというのが前提だったが、最近では教員のバックグラウンドも様々で、教員に対しても上智大学を理解するための導入教育が必要となっているのではないか」という問題提起がありました。このような意見をFDのプログラムの中でも取り入れて、よりニーズにあった企画を実施していくことができたらと思います。
なお、FD委員会では、2008年度第6回プログラム・FD講演会Vol.4として、11月26日に「FDの展望〜これまでのFDとこれからのFD〜」を開催いたします。多数のご参加をお待ちしています。
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