活動学生による授業アンケート
Good Practice 2016年度秋学期
政治学
加藤 浩三(法学部国際関係法学科 教授)
受賞のコメント
この度はGood Practiceに選出いただき,大変光栄に存じます。率直なところ教育方法について表彰されるような“Practice”は一切実践しておらず、FD委員会の選考過程に異議をとなえているのでは決してございませんが、どちかというと旧来の悪い見本となるような講義形態ですので、今回の受賞は何かの間違いではないかと大変驚いております。授業は大教室にてパワーポイントなどのITは一切使わない1時間半しゃべり通しの講義です。強いてITを利用した工夫があるとすればmoodleに毎週のレジュメと講義資料をアップロードし、授業後に質問を書き込める箇所をmoodle内に用意しているくらいです。このような工夫は多くの先生方が既に実行されていることで、決して“Good”ではないはずです。従いまして下記の「学生のコメント」は関係者のご配慮により肯定的なものを取捨選択した結果であり、実際「授業の進め方が一方的で学生のことを考えているようには感じられなかった。」というコメントもあり、私自身極めて的確なコメントとして反省したいた次第です。
しかしながらもし受講学生から評価されるような要素があるとすれば、それは授業方法のテクニカルな側面ではなく、毎回の講義の方針、心構えといった部分であったと思います。毎回の講義では、理論の中心である「幹」とその理論を補完するデータや事実の「枝」を明確に区別し、幹については言葉を替えながら講義中に何度も繰り返すように心がけていました。パワーポイントの効用を否定するつもりは毛頭ありませんが、スライドごとに議論の流れが瞬時に切り替わる(とくに全学共通科目受講者のような初学者にはそのように感じられる)講義ではなく、毎回A4・2枚のレジュメに基づき首尾一貫した内容の授業構築に努めてきたことが、学生に理解されたのであればこの上ない喜びであります。
大学においても研究と共に教育の重要性が指摘される中、講義を担当する教員が実践すべきGood Practiceは、講義中心のオーソドックスな形態とITを駆使し学生の授業参画を積極的に促す方法のベストミックスにあることは間違いないでしょう。そのような授業を目指し今後とも精進して参りたいと存じます。
学生のコメント
- いつもしっかりと授業の計画が練られており、教授の熱意を感じました。真面目に受ければ学生にとって何らかの力になる授業だと思います。
- 毎回論点が整理されており、なぜそうなのかという、本質的な問いについて学生それぞれの考えを深めることを目指していた。
- 概ねシラバスどおりの講義であったこと、理系でも十分理解できる内容であったこと、問題解決型の考え方を学ぶというコンセプトを大切にしていたことが良いと思いました。
講義概要
本講義は、法学部を除く学部学生を対象に、様々な社会現象を「政治学的な見方」で理解することをその主要な目的とする。政治学の分野は、例えば選挙研究、政策過程分析、比較政治、国際政治など極めて多岐にわたる。本講義では、それらのいくつかの分野について入門的概説を行うと同時に、現代政治学が取り扱う諸問題(主に国際関係や外交)に関して具体例を挙げつつ、それらを理論的に分析するためのアプローチ(分析方法)を理解する。
講義全体を通じて、「世の中は○○であるべき」という規範的議論を超えて、「なぜ現実は○○であるのか」という問題解決型の発想方法を学ぶことが、本講義のねらいである。
講義概要
規範的議論を超えて問題解決型の発想方法を学ぶ。