• FD委員会概要
  • 活動
  • 教育活動支援情報

活動学生による授業アンケート

Good Practice表彰式について

2022年度春学期大学授業アンケート「学生が選ぶGood Practice」代表者のことば

 受賞15科目(14名)のうち、2科目受賞された荻巣崇世先生から、紙面インタビューにて寄稿いただきました。

〇受賞科目:総合グローバル学科開講
 「国際教育開発論1」、「ADVANCED STUDIES (INTERNATIONAL ORGANIZATION B)」
〇担当教員名:荻巣崇世 先生 (総合グローバル学部総合グローバル学科特任教員)

問1:受賞のご感想を教えてください。

 まずはとても驚いたのですが、同時に、楽しく授業をさせてもらったうえに賞までいただけて、とても幸せな気持ちになりました。授業アンケートは、履修生からのコメントを一喜一憂しつつも隅々まで読んでいますが、このようにGood Practice賞に選んでいただけたことで、さらに気が引き締まる思いでおります。ありがとうございます。

問2:受賞された科目について、学生に授業をとおして最も伝えたいとお考えのことは、どのようなことでしょうか。

 今回受賞させていただいた「国際教育開発論1」「Advanced Studies (International Organization B)」の二科目は、総合グローバル学部開講ということで、途上国に教育の支援をしたいとか、国際機関で働いてみたいという学生さんが多く履修してくれていました。これらの授業では、まず、「学校教育」という制度も、「途上国」というカテゴリーも、「国際機関」という組織も、すべて誰かが何かの目的のために作ってきたものだということ、そして、世の中が「作られたもの」だからこそ、これから私たちがいかようにも変えていくことができるのだ、という二つが伝えたいことの中心にあるように思います。同時に、異なる価値観があるなかでどう答えを導くか、その答えにどう責任を取るか、といった、簡単に答えが出ないような問題こそ、諦めずに考え続けて欲しいと思っています。

問3:授業の中でされている創意工夫を教えてください。

 授業の中ではディスカッションの時間が一番好きなので、ディスカッションのテーマを考えるところに一番力を使っているかもしれません。ただ自分の意見を言い合って終わるのではなく、分からないから他の人の意見を聴きたい、一緒に考えてみたいと思ってもらえるようなテーマにしたいと思っています。私自身も正解が分からないものを設定していることが多いので、学生さんたちの考えを聴くことがとても楽しく、気づきや学びも多いです。気を付けているのは、出てきた言葉や考えを板書していって、ディスカッションでの学びを目に見える形で残していくことでしょうか。そうすることで、「自分たちの話し合いがみんなの学びを作っている」という当事者意識や達成感を持ってもらえるといいなと思っています。

 グループで発表してもらう場合も、調べて分かったことを発表するだけでなく、ディスカッションのお題を考えて司会をするところまで学生さんたちにやってもらっています。どんなお題を出せば全員が参加して学びを深められるかまで考えてもらうと、発表者にとっては必然的に内容の理解が深まりますし、発表しない人たちも、幸か不幸か、私自身が講義するより前のめりで聴いて参加するので充実感があるのかもしれません。学生さんたちの発表から、別の授業で使えそうなディスカッションテーマやツールのヒントをもらうことも多々あります。

問4:特に大人数の授業で、難しいと感じられる点はありますか。それはどんなことでしょうか。また、それに対し、工夫されていることを教えてください。

 「国際教育開発論1」は、例年170~190人くらいが履修する講義です。2020年4月に着任した当時は対面授業ができず、構想を練る時点からオンデマンド型の授業を念頭に考えていました。大人数かつオンデマンドの授業は、アクティブラーニングも個別のフィードバックもなかなか難しく、どうしても一方向の講義が中心になってしまう中で、できるだけ履修生の関心や疑問に寄り添って授業を進めたかったので、葛藤がありました。そこで、通常のリアクションペーパーとは逆に、授業を受ける前に課題文献を読んでコメントを書いてもらう形にして、授業ビデオの導入部分でコメントを紹介することで、学生さんが出してくれた疑問や意見から出発して講義を進めるようにしています。

 また、学生同士の対話の仕組みとして、毎週テーマを決めてMoodleのディスカッションボードで各々の意見や経験を共有し、お互いコメントし合うという課題を出しています。例えばウェブ上のデータベースからひとつ国を選んでグラフを作り、分かったことを書くというような課題ですが、190人いるので、世界の様々な国の状況を比較できたり、同じグラフからでも異なる視点での発見があったりと、学生同士が対話を通して学び合えるようにと考えています。

 ただ、現在はオンデマンドの利点を生かし、ウェブ上のツールに頼っている部分が大きいので、全部を対面にしたらどのように大人数での対話を成立させることができるのかは正直不安もあります。

問5:これらの工夫は、どういったところから発想され、磨かれてきたものでしょうか。

 「授業前にコメントペーパーを出す」というアイデアは、自分自身がアメリカに留学していた時の先生が実践されていたのを拝借しています。留学当初は授業中に発言することができずにいたのですが、先生が「タカヨは良いコメントを書いているから聞いてくれ」といって、私に発言の機会をくれたのです。その場で発言するだけではない授業への貢献の仕方があるんだ!と感動し、学生さんからの様々な疑問や考えに寄り添うことができるかなと思って、すべての授業で取り入れています。

 当初は、面白いコメントや質問を選んでMoodleのディスカッションボードにアップするようにしていたのですが、結局あまり見てもらえていないようだったので、2年目からはコメントから私が考えたことや講義内容との繋がりを含めてビデオの中で共有しています。「自分の疑問や経験がみんなの学びに貢献しているんだ」ということを感じてもらえたらなと思っています。

 また、学部や全学のFDで学んだことを取り入れたり、学生さんからのフィードバックをもとに授業の進め方やツールを見直しています。例えばMoodleのディスカッションボードで学生同士がコメントし合うというのは、FDで学部の先生が共有してくださったアイデアです。Moodleのアンケート機能を使い、毎回の授業について匿名でフィードバックできるようにもしていて、Moodleのより良い使い方や新しいツールを学生さんから教えてもらって、色々試して学んでいるという感じです。

問6:最後に一言ありましたら、お願いします。

 今回の受賞は、安心して授業と研究に集中できる環境を整えてくださっている総合グローバル学部教職員の皆様と履修生の皆さんのお力添えによるものと深く感謝しております。いつも応援してくれる家族にも、この場を借りて感謝を伝えたいです。

以上

Good Practice一覧へ戻る