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活動学生による授業アンケート
Good Practice表彰式について
2022年度秋学期大学授業アンケート「学生が選ぶGood Practice」
代表者のことば
受賞14科目(12名)のうち、田渕六郎先生から紙面インタビューにて寄稿いただきました。
〇受賞科目:総合人間科学部社会学科開講
「エイジングと世代の社会学」
〇担当教員名:田渕六郎(総合人間科学部社会学科教授)
問1:受賞のご感想を教えてください。
この授業が表彰の対象として選ばれたとうかがい、初めてのことでしたので素直にびっくりしたとともに、名誉ある賞をいただいたことをあらためて光栄に思っております。開講してから15年ほど経過した授業ですが、気を緩めることなく、さらに良い授業ができるよう精進していきたいです。
問2:受賞された科目について、学生に授業をとおして最も伝えたいとお考えのことは、どのようなことでしょうか。
この「エイジングと世代の社会学」という科目は、総合人間科学部社会学科の選択必修科目です。1限に開講されているということもあり、履修されている学生さんはほとんどが社会学科ですが、社会学の知識がなくても学べるよう配慮しています。少子高齢化が進むなかで「老いること」の意味も変化していますが、そうした変化に「世代」の問題が深く関わっているのではないかというのがこの授業のクエスチョンです。私たちが「老い」について当たり前と考えている事柄は、実はそれほど当たり前ではないのだということが、この授業で学生さんに最も伝えたいことです。また、この授業を受講される皆さんには、この授業の問いは自分がライフコースで直面する終わりのない問いなのだという理解を深めていただくことも、期待しています。
問3:上智の学生の印象/受講生の印象について、何かありましたら教えてください。
前任校や他大学を含めて多くの大学で授業を担当させていただきましたが、上智では学生さんの多くがディスカッションを好み、かつ、それに慣れているので、ディスカッションを進めるのがとてもやりやすいです。この授業に限りませんが、上智では、相互に意見を交わすなかで問いや自己についての理解を深めるということが当たり前になっているところが素晴らしいと思います。この授業はディスカッション主体の授業なのですが、今回の受講生の方々も積極的にディスカッションに参加してくれました。
問4:授業の中でされている創意工夫を教えてください。
「予習とディスカッション」がこの授業の特徴です。社会学一般がそうですが、問いに対する「正解」はないけれども、皆で話し合うことで「より良いアイデア」にたどり着けるという学びを、授業を通じて得てもらうことを重視しています。そのために、この授業ではほぼ毎回、予習課題を課しています(教科書は使っていません)。これはシラバスにも明記しているので、毎回時間のかかる予習をして参加する覚悟ができた、少数精鋭の受講生が集まってくださっているようです。課題は、その回のテーマに関連する調査結果などをこちらで提示し、各自がそれを自分なりに分析して考察を記す、といった内容です。受講生は各自A4で1枚程度の予習成果を持参し、授業冒頭に4名程度のグループに分かれて20分程度のディスカッションを行い、結果をワークシートにまとめてもらいます。その後15分程度、幾つかのグループの代表から、グループでの意見や気づきについて報告していただき、全体で学びを共有します(私がPCでメモをしたものを投影しながら行います)。残り時間が私の講義になります。ディスカッションのグループは、学期で3回ほどシャッフルしますが、できるだけ異なる学年が一緒になるよう配慮をしています。この授業で初めてお互いに話をした、という履修者も多いようです。
予習課題には毎回こちらでコメントを付けて返却しています。予想もしないような興味深い意見に出会えるのが楽しいのですが、受講者が多い年はコメントを書く時間が長くなることがあり、それは多少大変です。
問5:また、これらの工夫は、どういったところから発想され、磨かれてきたものでしょうか。
方法という点では、私じしんの発想によるものは多くありません。課題にコメントを付けて戻すというのは、私が学生の頃に受けた授業に同様の試みを取り入れたものがあり、それを踏襲したものです。以前、上智の他学科の先生で、毎回の授業について全てのリアクションペーパーに長大なコメントを付けて返却されている先生がおられ、真似はできませんが、そうした先輩方からも学びました。予習課題を軸に授業を進めるというやり方は、LTD話し合い学習法などから学び、実際の運営方法は試行錯誤を繰り返しながら改善してきたところが大きいです。
問6:その他、上記に関わらず補足等がありましたらお願いします。
学科や大学の職員の皆さまに様々な環境を整えていただいていることで、安心して授業に取り組めることを感謝しています。また、学科や学部で様々なFDの機会を与えていただいていることも有り難く思っています。最後に、この授業に熱心に参加し、私にも貴重な学びを与えてくれたこれまでの、そして今回の履修者の皆さんにお礼申し上げます。
以上